審査員
菊地健雄
映画監督
1978年、栃木県足利市出身。
明治大学政治経済学部卒業後、映画美学校を経て瀬々敬久監督に師事。
2015年『ディアーディアー』(主演:中村ゆり)にて長編映画監督デビュー。
第9回TAMA映画賞 最優秀新進監督賞受賞(『ハローグッバイ』『望郷』)
おおさかシネマフェスティバル2018 新人監督賞受賞(『ハローグッバイ』)
【映画】
2015年 『ディアーディアー』(主演:中村ゆり)
2016年 『ハローグッバイ』(主演:萩原みのり 久保田紗友)
2017年 『望郷』(原作:湊かなえ/主演:貫地谷しほり 大東駿介)
2018年 『体操しようよ』(主演:草刈正雄)
【ドラマ】
2020年 ABC 『この男は人生最大の過ちです』(主演:速水もこみち)
2021年 TX 『生きるとか死ぬとか父親とか』(主演:吉田羊 國村隼)
2022年 TX 『メンタル強め美女白川さん』(主演:井桁弘恵)
2022年 Amazon Prime Video 『ショート・プログラム』(原作:あだち充/主演:JO1)
2022年 Netflix 『ヒヤマケンタロウの妊娠』(主演:斎藤工 上野樹里)
杉原憲明
脚本家
1981年、愛知県名古屋市出身。
立教大学文学部史学科卒業。映画美学校 (第7期) 卒業。
映像制作会社ツインズジャパン所属。
第4回衛星放送協会オリジナル番組アワード 最優秀賞受賞(『人質の朗読会』)
第55回モンテカルロ・テレビ祭 SIGNIS賞/モナコ赤十字賞受賞(『人質の朗読会』)
【映画】
2018年 『ニセコイ』(原作:古味直志/監督:河合勇人/主演:中島健人 中条あやみ)
2020年 『青くて痛くて脆い』(原作:住野よる/監督:狩山俊輔/主演:吉沢亮 杉咲花)
2020年 『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』(監督:飯塚健/主演:田中圭)
2021年 『総理の夫』(原作:原田マハ/監督:河合勇人/主演:田中圭 中谷美紀)
【ドラマ】
2014年 WOWOW『人質の朗読会』(原作:小川洋子/監督:谷口正晃/主演:佐藤隆太)
2016年 NHK-BS 『ママゴト』(原作:松田洋子/監督:中田秀夫/主演:安藤サクラ)
2021年 NTV 『アプリで恋する20の条件』(監督:新城毅彦/主演:本田翼)
2022年 CX 『元彼の遺言状』(監督:鈴木雅之/主演:綾瀬はるか)
雨無麻友子
プロデューサー
1994年、東京都出身。
青山学院大学総合文化政策学部卒業。
映画祭主宰、LDS映像事業部を経て、2020年スタジオねこ設立。
ぴあフィルムフェスティバル コンペ部門「PFFアワード2021」セレクション・メンバー
【映画】
2017年 『過ぎて行け、延滞10代』(監督:松本花奈/主演: 堀春菜 井之脇海)
2019年 『鹿沼』(監督:杉本逹/主演:黒羽麻璃央)
2020年 『ビューティフルドリーマー』(原案:押井守/監督:本広克行/主演:小川紗良)
2020年 『空はどこにある』(監督:山浦未陽/主演:安藤聖)
2021年 『藍に響け』(監督:奥秋泰男/主演:紺野彩夏 久保田紗友)
2022年 『ジャパニーズスタイル』(監督:アベラヒデノブ/主演:吉村界人 武田梨奈)
【ドラマ】
2020年 MX 『スイーツ食って何が悪い!』(監督:枝優花/主演:崎山蒼志)
2022年 Netflix 『トークサバイバー!』(企画:佐久間宣行/監督:河合勇人)
桐生コウジ
プロデューサー・俳優
1965年、東京都出身。
慶応義塾大学経済学部卒業。元イカ天バンド「馬の骨」を経て俳優デビュー。
2002年に株式会社オフィス桐生を設立、映画製作配給業務を開始。
第39回モントリオール世界映画祭 上映(『ディアーディアー』)
2011年 『市民ポリス69』(原作:柳沢きみお/監督:本田隆一/主演:酒井敏也 早見あかり)
2015年 『ディアーディアー』(監督:菊地健雄/脚本:杉原憲明/主演:中村ゆり)
2018年 『馬の骨』(監督・脚本:桐生コウジ/主演:小島藤子 深澤大河)
2003年 『座頭市』(監督:北野武)
2007年 『監督・ばんざい!』(監督:北野武)
2017年 『アウトレイジ 最終章』(監督:北野武)
2019年 『チア男子!!』(監督:風間太樹)
2019年 『イソップの思うツボ』(監督:上田慎一郎)
審査員コメント
受賞した皆さん、おめでとうございます!ただ喜びに水を差すようで申し訳ないのですが、今はまだスタートラインに立ったに過ぎません。ここからは正にシナリオどおりには進まないことだらけでしょう。でも、選ばれたシナリオがこれからの紆余曲折を経て磨きあげられたダイヤモンドのような作品になることを心より楽しみにしております。
そして、残念ながら落選してしまった皆さん、選考は本当に紙一重でした。僕にもシナリオコンペに落選しまくった経験があり、その時の悔しさが今の自分を支えている気がします。だから、どうか諦めずに何とか作品の形にしてください。この20祭をきっかけにたくさんの面白い作品が生まれることを願っております。
応募された皆さま、お疲れ様でした。最終審査に残りました十数本のシナリオを読ませていただきました。どれも個性あふれる力作でしたが、審査には一切迷いませんでした。台詞、構成、テーマである「20」の使い方、どれをとっても『春の結晶』が突出していたと思います。僕の中では、ぶっちぎりの1位です。作者には、少女たちのあの時代にしか体験できない“ある瞬間”を描くという明確なテーマがあり、それが見事に成功したシナリオです。現に僕は読み終わった後、甘酸っぱいような切ないような気持ちになりました。不覚にも感動したんです。はたしてそれが映像化された時、映画としてどのように表現されるのか。公開は来年夏と先ですが、ひとりの作家が誕生する瞬間を、ぜひ劇場で目の当たりにしてください。
入選おめでとうございます。『二十才の夜』は一つの起こってしまった出来事を軸として、関係のあった人々の揺れ動いているはずの心情に直接的には触れず、淡々と描いていく作品。台詞回しに20代特有の空気を感じた部分も含め、作品全体のトーンに一貫性を感じて、好印象を持ちました。
内なる感情を彷彿とさせる俳優部のお芝居の力、魅力のあるロケーション、テニスコートでの動きのある芝居における効果的な演出、そして音楽。省略をし、余白を上手く残している分、作品をつくる中で様々な要素が十二分に必要となって、それぞれが作用し合うのではないかと思います。だからこそ、実写映画として見たいと思わせてくれる作品です。大変楽しみにしております。
「20」という狭いテーマにも関わらず、多数のご応募ありがとうございました。最終審査の面談では主に作者の「キャラクター」と「こころざし」を重視しました。
安川さんには『ディアーディアー』で監督デビューする前の菊地健雄君の姿がダブり、平田さんには若者らしからぬ圧倒的な準備力の高さに驚かされました。いずれも当社が心から応援したいと思える作品です。
選に漏れた作品も僅差で、潤沢な予算があればあと数本は選出したいと思いました。
『春の結晶』『二十才の夜』は他の審査員が熱く語ってくれているので、
ここでは『ツチノコの蒲焼き』『Smoky-Story』について触れます。
二本に共通しているのは、脚本家と監督が別の人物であること。面談は二人同席してもらいましたが、二組とも組み合わせの妙が面白い。それぞれ一人でもできるのだろうが、敢えて共作を選択したのが興味深いところです。双方の思い入れや主張が程よく分散し薄まっているせいか、独りよがりにならず冷静な作品に仕上がる予感がします。
『Smoky』は20分で群像劇に挑む勇気、『ツチノコ』は独創的な着眼点。
両作とも<コンセプトに遊び心>がある。
──それは奇しくも当社が20年来掲げているキャッチコピー
『20祭』を飾るに相応しいラインナップが揃いました。