
皆様たくさんのご応募ありがとうございました。
受賞作品は当初の予定よりひとつ増え、4作品となりました。
これに関して、まずは審査方法からご説明させていただきます。
当社20周年イベントに適する作風か否かで絞らせてもらい、
予選通過12本を審査員投票で点数化しランキングいたしました。
次いで過去作の演出力と面談点を加点した結果、
同点で3位が2本並んだため4本選出となった次第です。
ここから各監督に映像化していただき、来年夏に劇場で上映するまでが『20祭』です。
この祭はまだまだ始まったばかり。
皆様どうぞ楽しみにお待ちくださいませ。
受賞者コメント
『春の結晶』
監督・脚本 安川徳寛
選出していただき、ありがとうございます。
『春の結晶』は女子高校生が書いた短歌から着想を得て書いたシナリオです。
自分とは性別も、年齢もかけ離れた存在が持つ感性に共感し、感動しました。
なぜ、そう感じたのか。自分自身が理解するためにも本作品を作りたいと思い、応募しました。
オフィス桐生設立20周年を祝福する淡い色の花の様な作品を作りたいと思います。
『二十才の夜』
監督・脚本 平田雄己
この度は入選作品に選んで頂き、誠にありがとうございます。
『二十才の夜』という以前から考えていた思い入れのある企画を制作する機会を頂き、大変嬉しく思っております。
この企画は〈喪失〉をテーマにした物語です。
さまざまな〈喪失〉を経験しながら、それでも人生を歩んでいく人々に寄り添った作品を作ることができたらと思っております。
作品の完成に向けて、精一杯努めさせて頂きます。
『ツチノコの蒲焼き』
監督 井上優斗
今回はこのような節目の企画に選出頂きとても光栄です!
と、言いましても僕らのやれることはいつも通り「自分達が面白いと思う映画」を創ることなので、この衝動やパッションは全部『ツチノコの蒲焼き』にぶつけます。変な題名と思ったみなさん!是非このゲテモノ料理を池袋シネマ・ロサに喰べに来てください!
脚本 桝本力丸
池袋シネマ・ロサと言えば、自主制作映画を作っている者にとって一つの目標とも言える劇場です。こうして上映の機会を頂けることを大変誉れに思います。経験の浅い我々ですが、劇場公開されるという事実に責任を持って撮影に挑む所存です。皆様に素敵な一時を届けられるよう全力を尽くします。是非劇場までお越しください。
『Smoky-Story』
監督 粟井モネ
20がテーマの20分の映画を20歳を共に過ごした大学の仲間たちと挑みます!
今回の脚本は今まで挑戦したことない群像劇になってます。人との繋がりは色んな場所で複雑に繋がってますがそれを20分でどう表現するのか楽しみにしてもらえたらと思います。
脚本 安藤圭吾
この度はオフィス桐生様主催20祭において「Smoky-Story」を選出頂き、誠にありがとうございます。
粟井監督とは大学時代の同期で、また共に映画撮影ができる事を嬉しく思います。
この作品は人の繋がりを短編群像劇独特の作りで表現したものです。初めての挑戦なので監督の演出からどんな作品が生まれるか僕も非常に楽しみです。
審査員コメント

受賞した皆さん、おめでとうございます!ただ喜びに水を差すようで申し訳ないのですが、今はまだスタートラインに立ったに過ぎません。ここからは正にシナリオどおりには進まないことだらけでしょう。でも、選ばれたシナリオがこれからの紆余曲折を経て磨きあげられたダイヤモンドのような作品になることを心より楽しみにしております。
そして、残念ながら落選してしまった皆さん、選考は本当に紙一重でした。僕にもシナリオコンペに落選しまくった経験があり、その時の悔しさが今の自分を支えている気がします。だから、どうか諦めずに何とか作品の形にしてください。この20祭をきっかけにたくさんの面白い作品が生まれることを願っております。

応募された皆さま、お疲れ様でした。最終審査に残りました十数本のシナリオを読ませていただきました。どれも個性あふれる力作でしたが、審査には一切迷いませんでした。台詞、構成、テーマである「20」の使い方、どれをとっても『春の結晶』が突出していたと思います。僕の中では、ぶっちぎりの1位です。作者には、少女たちのあの時代にしか体験できない“ある瞬間”を描くという明確なテーマがあり、それが見事に成功したシナリオです。現に僕は読み終わった後、甘酸っぱいような切ないような気持ちになりました。不覚にも感動したんです。はたしてそれが映像化された時、映画としてどのように表現されるのか。公開は来年夏と先ですが、ひとりの作家が誕生する瞬間を、ぜひ劇場で目の当たりにしてください。

入選おめでとうございます。『二十才の夜』は一つの起こってしまった出来事を軸として、関係のあった人々の揺れ動いているはずの心情に直接的には触れず、淡々と描いていく作品。台詞回しに20代特有の空気を感じた部分も含め、作品全体のトーンに一貫性を感じて、好印象を持ちました。
内なる感情を彷彿とさせる俳優部のお芝居の力、魅力のあるロケーション、テニスコートでの動きのある芝居における効果的な演出、そして音楽。省略をし、余白を上手く残している分、作品をつくる中で様々な要素が十二分に必要となって、それぞれが作用し合うのではないかと思います。だからこそ、実写映画として見たいと思わせてくれる作品です。大変楽しみにしております。

「20」という狭いテーマにも関わらず、多数のご応募ありがとうございました。最終審査の面談では主に作者の「キャラクター」と「こころざし」を重視しました。
安川さんには『ディアーディアー』で監督デビューする前の菊地健雄君の姿がダブり、平田さんには若者らしからぬ圧倒的な準備力の高さに驚かされました。いずれも当社が心から応援したいと思える作品です。
選に漏れた作品も僅差で、潤沢な予算があればあと数本は選出したいと思いました。
『春の結晶』『二十才の夜』は他の審査員が熱く語ってくれているので、
ここでは『ツチノコの蒲焼き』『Smoky-Story』について触れます。
二本に共通しているのは、脚本家と監督が別の人物であること。面談は二人同席してもらいましたが、二組とも組み合わせの妙が面白い。それぞれ一人でもできるのだろうが、敢えて共作を選択したのが興味深いところです。双方の思い入れや主張が程よく分散し薄まっているせいか、独りよがりにならず冷静な作品に仕上がる予感がします。
『Smoky』は20分で群像劇に挑む勇気、『ツチノコ』は独創的な着眼点。
両作とも<コンセプトに遊び心>がある。
──それは奇しくも当社が20年来掲げているキャッチコピー
『20祭』を飾るに相応しいラインナップが揃いました。